茶室vs和室のルール
『床挿し』畳の敷き方

Tea room vs Japanese-style room rules

茶室と一般的な和室では、畳の敷き方が違います

茶室と和室のルールを混乱している人が多いです
茶室は様々な茶人から「〇〇は〇〇にするものです」と決まり事を耳にします。
それは茶室の決まりごとがとても多く様々な情報が氾濫しているのが原因ですが、実は間違えている人も多いのです。

まず、間違えている人は『茶室のルール』と『和室のルール』を混乱しています。
和室の畳の敷き方は一般的には『縁と床を平行』にします。縁が直角にぶつかる『床挿し』にしないことが一般的なルールです。(これは座敷作りの習慣です)
そのため、二畳の国宝待庵のような狭い茶室を見て「床挿しだから間違っている」という人がいるのです。

茶室は『点前座と貴人畳』の両方を大切にします
しかし、裏千家の今日庵、武者小路千家の官休庵、これらの一畳台目の狭い茶室も床挿しに敷かれています。これは、点前座が『腹切り畳』(居前と道具畳の間に縁がある)という、座る所の居前と道具畳の間に畳の縁が来ないようにする為です。
これは八畳の茶室も同じことになっていて『床挿し』で畳を敷きます(このことは良く知られていますが…)。これは一般的な和室の畳の敷き方では『点前座が腹切り』になるからです。
そして正客が座る場所は丸畳になりますので、けして客に失礼な敷き方には感じません。

千家流と武家流で考え方が違う時もある
もう1つ例を上げますと、表千家の不審庵も床挿しで畳を敷いています。
この間取りなら、床挿しにしなくても畳を敷けますが、貴人が座る方向を考えて、床挿しに敷いているのだと思います。また、給仕口に畳がかかるため亭主が貴人畳に入らないようにしたのかもしれません。

武家流の小間茶室では、畳を床挿しにしないこともあります。武家流の方が座敷作りのしきたりを気にするのだと思います。

細かいことなので『どうでもいい』と感じることもありますが、でも『ここまで細かくお客様に配慮する』それが茶室作りなのでしょう。

 

今日庵 躙り口 左は点前座