Art production process
アート制作 工程
制作工程
Production process
この作品群は私の設計した茶室の、プレゼンテーション用に開発した技法をさらに進化させたアートです。
茶室設計は使い勝手や合理性を考えぬき、空間デザインと素材選びは慎重に検討して決めていきます。この思考時間に、どのようなテーマの茶事が行われるかイメージが膨らみます。逆の言い方をすれば、そのイメージが茶室のデザインを決めて行くこともあります。
茶室はアートではなく、茶人が客を思い、道具を準備して茶事に使われてこそ、心を打つ美しさが作られます。
設計プレゼンテーション作業 Presentation work
設計検討
Design study
茶室設計は施主の茶室の使い方を聞いたのち、間取りを出来るだけ多く考えます。それは茶室は決まり事が多く、バリエーションが限られているからで、その中で茶室の使い方の可能性が最も多い間取りを選んでいきます。
そして使い勝手の良いもののパースを描き、施主と間取りを決めて行きます。
間取り図/パース作成
Floor plan / perspective creation
間取りが決まってくると、清書をしながらディテールの仕様を決めていきます。
パースは鉛筆の手書きの線で空間を起し、ディテールを描き込んでから、マーカーや色鉛筆で着彩をします。
一般的にはそれで完成ですが、私はその絵をスキャナーで取り込みデジタル処理で陰影と光を描き込み、茶室の雰囲気を再現します。
そして、施主に具体的なイメージを伝えます。
ここまでが、設計プレゼンの作業です。NFTartはさらにこの先のデジタル処理が増えていきます。
デジタルアート作業 Digital art work
一期一会のテーマアイテム
Itigo ichie theme item
床の間の掛け軸は、茶室設計をしていた時によぎった茶事のシーンを思い出しながら選びます。(自宅にある掛け軸から選ぶことが多いです)
その掛け軸がデジタルアートのテーマになります。
そして、その茶事テーマのイメージを膨らませ、必要になるアイテムを手書きで描き、デジタル化して使います。
それは花と花入れ、畳/聚楽壁/茶室の木部の色などです。床柱を変えることもあります。
このアイテムは、掛け軸の茶事テーマにより、描く物は違ってきます。
デジタル処理 光と陰影
Digital processing light and shadow
茶室内のアイテムが決まると、茶の湯をしている季節と時間を決めて、茶室に広がる光をイメージします。その光は、禅語の思想の根底にある『自然の、あるがままの真の美しい姿』を感じるメージを表現することで、いくつかのバリエーションを作りながら決めていきます。
具体的な工程は、スキャナーで取り込んだカラーパースに、影レイヤーをデジタルで付け、光が当たる所を抜いていく手順です。
デジタルアートは画面が発光しているモニターで見るので、影を抜くことで表現できる光の表情は、とても繊細なリアル感があり幻想的になります。これは紙では表せない、デジタルアートならではの光の効果です。
最終調整 Final adjustment
そして最後に、『光と影』と『内装仕上げとアイテム』の見え方の調整をして完成です。