茶室を自分で設計する

Design your own tearoom

 茶室作りの難問を乗り越える、道順をお伝えします

 茶室作りは、考えなけれがいけないことが複雑に絡み合うため、いざ図面を前にすると、何をすべきかわかりません。
 ここでは、設計の道順を紹介しますので、一歩づつ進めて、あなたのお好みの茶室を作っていきましょう。
 1)茶室の間取り図制作の進め方
 2)内装の仕様の決め方
 3)そして施工業者との最適なやり取りについて紹介します。

1)茶室の間取り図作成 進め方

①貴方が志す茶の湯を見つめて、将来どのような茶の湯をしているのか想像します
②そのために必要な茶室の要素を決めて、間取り図を作ります
③いくつか作った間取り図なのかで、茶の湯と日常生活のシュミレーションをします。

貴方の志したい茶の湯を見つめます

 まずは、どんな茶の湯を志したいのか、自分を見つめてみます。
 茶室を作りたい方は「自宅でもお稽古をしたい」と多くの方は始めにそう考えています。勤勉な姿で素晴らしいと思いますし、茶室作りのきっかけとして良いことです。
 そして自宅に作る茶室は生涯、家に残りますので、その先もイメージするのがよいのです。将来、茶室で誰と一緒にどんな茶の湯をしているのか想像してみましょう。
例えば、
・茶の湯教室を開いて、若い人に茶道の素晴らしさを伝えている
・親しんでいる茶の湯の友人と、ゆったりと茶事をする
・親族や知人が集まる時に簡単な茶会でもてなす
 等々楽しみながらイメージしてみます。
 どんな茶の湯をしたいかで、茶室の間取りは違いますので、使い方のイメージが大切になるのです。今すぐ出来なくても将来の夢でいいのです。

間取り図を作るための準備

 茶室の使い方のイメージができれば、間取り図の作成です。その為には必要な茶室の広さや設備、収納などの要素を整理します。

 まずは、茶道教室と茶事をするのでは、間取りの考え方が違いますので紹介します。
・茶道教室は、お弟子さんの人数に合わせた茶室の広さが大切になります。水屋はお弟子さんに道具の扱いを教える為に必要です。(置き水屋も可)

・茶事は、懐石料理を準備するためのキッチンが大切になります。水屋は無くてもキッチンで準備が出来ます。寄付きになる場所や、蹲(つくばい)など茶室に入る前の清めの場が必要になります。

 使い方がイメージできましたら、茶の湯空間全体に必要な要素が決まります。茶室、水屋、勝手、寄付き、露地、待合などで、其々どんなシーンがあり、ご自宅の何処のスペースを使えそうなのか考えながら、間取りに入るか空間サイズを考えてみます。
 ご自宅の何処のスペースを使うのか、おおよその検討がつきましたら、次に間取り図の作成です。

茶室の動線を考えて間取りを作る

 間取りは、茶道口→貴人口、床の間の順番で考えます。
・茶道口から、水屋・キッチンなど『勝手側』に繋げることで、お点前の準備がスムーズにできます。つまり、茶道口は『キッチンの位置』をみれば、ほぼ決まり、そして茶道口が決まれば、おのずと点前座は決まります。

・茶室は『茶道口、貴人口、床の間」の間取りのバリエーションが作れることが多いので、チャレンジして幾つか作ってみましょう。間取り図は『使い方を検討する為』に作りますので、ラフでもいいのです。

 間取りを幾つか作るためには、様々な茶室の事例を見るのが一番良いでしょう。茶室事例の載っている建築雑誌を読んだり、インターネット上で検索することも出来ます。

間取り図なのかで、茶の湯と生活をシュミレーションする

 間取りが幾つか出来ましたら、その図面の中にいる気持ちで、貴方やお客さん、お弟子さんなどがどのように動いて、どんなシーンがあるのか具体的にイメージしてみます。

・間取り図の中で茶の湯と日常生活をシュミレーションをすることは、とても大切なことで、動線が長すぎる/収納が足らない/狭くて数人で使えない、など使い辛い所が分かります。そして、修正が出来る所は直していきます。
 これをしないと、茶室が出来上がってから後悔する所が多くなります。

 そしてこれ以上修正できない時、いくつか作った間取りの中で、貴方にとって一番良いものに決めていく、という順序になります。

2)茶室の内装仕様決め 手順

 まずは、貴方が作りたい茶室の室内のイメージを作りましょう。古典の茶室や、モダンな茶室でも良いのです。
 主に決めていくところは、床廻りの構成と天井の構成、そして建具の仕様です。
 現代の茶室建築の事例で仕様が記載されている雑誌なども参考になりますので読んでみましょう。写真などを集めていけば、施工業者にイメージを伝える時にも使えます。

茶室の情報を、沢山集めましょう

 茶室の写真を集めるのと同時に、出来るだけ沢山の茶室の見学に行くのがお勧めです。お施主さんに床柱や框などの仕様を聞くと、様々な思いを話してくれて参考になります。

 また、内装の仕様や出入り口、窓、建具、そして点前座などの仕様(サイズや構成など)を解説している書籍がありますので紹介します。
【中村昌夫が語る建築講座 古典に学ぶ茶室の設計 建築知識スーパームック】 内容が濃くて良い本ですが、読むのが少し大変です。私も参考にしているお勧めの一冊です。

【茶の湯インテリア術2 茶事・茶道教室 本格的な茶室作り】私の著書です。現代の住宅に本格的な茶室を作れるように解説した本です。間取りのバイエーションも沢山作っていますので参考になります。

茶室の内装で使う数寄屋材を選ぶ

 茶室の内装仕様は、数寄屋材をあなたの好みで選びます。この『好みで選ぶ』ことが難しいので、調べて知識を増やさないといけません。
 現代はインターネットで『茶室 数寄屋材』で検索していくことで、あなたのイメージに合う材を探し、価格も調べられるので便利な時代です。

 また、施工業者や銘木屋に部材やカタログを見せてもらえば、そこから決めることも出来ます。
 注意することは、施工店や銘木屋が『利益が高い材/在庫が余っている材/高く仕入れた材』などを使いたいため「茶室ならこれを使かわなきゃだめですよ」と高価な材を売り込んでくることです。
 それに振り回せれないようにする為には、貴方が数寄屋材の知識を付けるしかないのです。「ここは安い材でもよい」とキッパリと伝えられるようにしましょう。

3)施工業者との最適なやり取り

 施工業者とのやり取りは・施工出来るか/予算に納まるかがやり取りの中心です。
 施工は、施工業者が『茶室作りを協力的にしてくれるか』よく見極めましょう。茶室に慣れていなくても腕の良い大工さんなら、さほど費用が高くなくても綺麗に茶室を作ってくれます。施工業者に、素直で腕の良い大工さんがいるか、の視点で探すのが私のお勧めです。
 予算は、茶室作りに慣れていても、とても高価な費用になることがありますので、事前に予算を決めて『これぐらいで茶室ができるか』と打診してみましょう。

ハード(施工出来るか)

 新築では茶室に合わせて構造を考えるので問題はありませんが、リフォームの場合は構造の問題で出来ないことがありますの注意しましょう。例えば、
・取りたかった柱や壁が取れない
・床下に余裕が無く炉を埋め込めない(床を上げないと出来ない)
・水屋は、排水の経路が取れない。など考えられます。

 その場合は時間をかけて作った間取り計画が、無駄になってしまうので、ラフな間取り図のうちに施工業者と打合せをした方がよいでしょう。

 施工業者に『どうすれば出来るか?費用はどれぐらい高くなりそうか?』を聞き、間取りを考え直します。

予算に納めるために大切な事 【リフォームの場合】

 工事内容に対して費用の想像がつかない人は、間取り図がラフなうちに施工業者と予算の打合せをした方が良いでしょう。望み通りに大規模には改装できないこともあります。

 「まずは理想の設計を作り、施工業者の見積もりを見てから、予算に合うように計画を調整していく」という進め方はお勧めしません。計画倒れになることが多いです。それは、費用によって『理想の間取りの作り方が全く違う』からです。コストを度外視して作った『理想形』は費用を抑えると魅力が全く無くなることがよくあるのです。

「茶室の予算はいくら」と施工業者には必ず伝えますが『出来れば〇〇万円までに抑えたい』これ位の伝え方で良いでしょう。どこの施工業者も最終的には予算に合わせて工事内容を考えます。しかし契約後、さらに必要なものが出てきて費用が上がることが多いですので、8割ほどの予算で伝えて、契約した方が無難です。

リフォーム工事で費用が上がる要因

 リフォーム工事で費用が上がる原因は『工事範囲が広がる』からで、これは後でコスト調整ができません。『工事範囲』は計画の初めに意識した方が良いのです。
・サッシの交換や外壁工事
 内部リフォームのつもりでも、サッシを小さくしたり/大きくしたりすると、外壁もいじることになるので費用はとても上がります。
・内部の壁の移動
 間仕切り壁を移動すると、天井や床もやり替えになるので費用は上がります。
・流しのある水屋
 給排水工事が入るので費用は上がります。
 予算が余り無い方は、工事費を押し上げる上記をなるべく減らす計画を考えます。

 間取りが決まれば、内部仕様(床の形や材料、内装の仕上げ、天井の形状など)の打合せです。なるべく『イメージ写真』を見せて打ち合わせた方が良いでしょう。

契約~工事まで

 施工業者には、契約前に展開図や屋根伏せ図、電気配線図、仕上げ表など作らせるのが良いですが…作らない施工業者も多いので、せめて確認だけはしておきましょう。提出された、見積り/設計図書(間取図・展開図)/仕様書を確認し、わからない所は聞きましょう。気になることが無ければ契約です。

 工事が始まるまでに、詳細設計(畳のサイズ・天井構成・建具形状など)と、最終の仕様決め(畳の縁・床廻り・天井材・壁材と色・襖・腰紙など)を行いますが、これはデザイン選びで、決めることは意外と多く忙しいですが、楽しい時です。

 工事が始まると、ひと安心ですが、なるべく現場に顔を出して、イメージ通りに出来ているかをチェックしましょう。

茶室を作る心構え 【最後に】

 私が茶室の勉強をしていた頃、様々な数寄屋大工/銘木屋/茶室に詳しい人に、茶室作りについて質問しました。
 理解出来ない話は『なぜそうなのか?いつからそうなのか?』と聞きまくっていましたが…最後には「そういうもんだよ!」と理由を説明されずに怒鳴られたことがあります。

 つまり、施工業者や銘木屋や茶人は『茶室作りの本来の考えからきている理由ではない』別の理由で、施工内容を決めている事があるのだと分かったのです。それは、其々の自分の都合(作りやすい、利益が高い、自慢できる部材など)で決めているということなのです。
 施工する側の人々は自分たちの都合に合わせて茶室を作りたいのです。
 しかし、貴方は、あなた自信の思いで茶室を作り、ご自分の茶の湯を目指してください。

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 どちらでも良いですので、本の内容だけでは、ご自宅の茶室が決まらない時にお問い合わせください。
 図面は、検討初期段階のラフなでも構いません。

 仕事の合間に添削いたしますので、多少お時間を頂くことがあります。
 『下記のお問い合わせ』から、ご相談の旨をお伝えください。